ドル膠着状態2020.07.17

 ドル円が居心地の良い107円台から全く動かなくなって1ヵ月以上経過しています。瞬発的に上下にブレイクすることはありますが、日足チャートにすればヒゲの範囲内で、実際の水準はずっと膠着しています。さらにクロス円も小動きであまりトレンドがありませんから、為替全体に対しての関心が薄れている状態です。米中問題は日々悪化しているものの、最早慣れっこの相場は全く動じません。特に米国はトランプ大統領の再選に赤信号が灯っている中ですから、今の政権の動きに対する注目度ががぜん低下している点も否めません。バイデン大統領の誕生・・・というよりは、そのバイデン氏が誰を「副大統領」に任命するかという点が選挙で一番大きなポイントに移り変わってきているようです。有力候補と言われるカマラ・ハリス上院議員の発言報道などが際立って増えてきておりますので、今後のアメリカの情勢、しいてはドル円の方向性を見るうえで注目していきます。

 さて、気を吐いているのはユーロです。先週の当コーナーでも取り上げましたが、その時点でのユーロドルが1.13台でしたが、その後6月高値を突破して1.142迄上昇しています。次の上値の節目は、3月9日につけた1.1500になります。今週末に控えているEU臨時会合でのEU復興基金創設の採択はまだまだ暗雲が立ち込めていますが、フォンデアライエンEU委員長は今回合意できなければ月内に再度会合を開いて採択を促すとしており積極的ではありますが、会合を控えた今現在は非常に厳しいという見通しが強まっています。
 
 それでも堅調なユーロ相場。
 
 経済指標の回復や新型コロナ感染者数の拡大がアメリカ大陸や中東に比べて緩和的であることなどから、引き続き選ばれる通貨になる可能性が強まっています。基金創設が否決されてユーロが売られるような地合いがあれば、良い押し目となるかもしれません。

 ※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。

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