7月21日、日本時間のお昼にEU首脳会合にて総額7500億ユーロ(約92兆円)の復興基金の創設で合意されたことが報じられました。事実上、債務の共有化となりますので、これまで懸念されたユーロという複合体への不安を払しょくする加盟国の結束を示す形になりました。
この報道を受けてユーロの初動は「sell in fact」で ユーロ売りとなり、ユーロドルは直前の1.147台から1.142まで下落、ユーロ円も30pipsほど下落しました。しかしユーロ円はすぐに出直りの動きになり、欧州時間に入るまでにいったん行って来いの動きへ、ユーロドルもじわじわと値を戻していきました。織り込まれていた材料が決まったことで一旦吐き出された利確の動きでしたが、この情勢の中加盟国全体で合意を付けられたEUに対する前向きな評価がユーロの追い風となって、21日にユーロドルは1.15422迄上昇して、今年3月につけていた直近の最高値1.150を上抜けする動きになりました。
このユーロドルの月足チャートを見ると、12.24カ月の移動平均線を上抜けし、60ヵ月線もブレイクしてきました。1.17に節目があり、一目均衡表のクモの下限も今後数カ月は1.17になりますので、この辺りに近づくと上値を抑えられるかもしれませんが、現在はもう少し上値を狙える動きなのではないかと思います。
米国でも政権と与党共和党による追加経済対策をめぐる協議が本格化したことを受けて、景気下支えの期待感から株価が堅調に推移し、全体的にリスクオンの動きになりました。といっても、為替面で見るとドル円は107円を前後して小動きで全くうまみがありません。対してユーロ円は連日堅調な値上がりになっています。ただ月足チャートで見ると2014年の高値149円以降高値を結んだ右下がりの抵抗ラインで上値の上限に近づいていますから、ここで押し戻されるか、ブレイクできるか注視していきます。
※こちらのコラムは今週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。
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