政治の秋に英ポンド加わる2020.09.11

 いよいよレーバーデーを通過し、本格的な秋相場です。すでに秋波乱の予兆のような米株価指数の上下波乱に見舞われて、ドル円、クロス円もリスクオン・オフの動きに左右させられていますが、直近でチャート的に1つの変化を見せているのが英ポンドです。

 対円で見ると、3月新型コロナの感染拡大を受けた世界的なショック安の際は124円まで崩れた英ポンドですが、直近では8月末に142円台まで上昇していました。それが、今月に入って再び荒れた展開となり、9月9日には200日線にタッチする動きになりました。他のクロス円を見ても、一時的に200日線を割り込んだ動きになったのはポンド円くらいです。

 この要因が、10月15日を合意期限としているEUとの離脱協定に際し、英政府がイギリス本土と北アイルランドとの間で関税手続き上の境界を作るとしたEU離脱協定を骨抜きにする法案を議会下院に提出したことで、EU離脱協定違反であり、国際法違反であるという非難が続いています。この話が草案で今週中にも提出されるだろうという報道がきっかけで英ポンドの売りが進みましたが、提出後はひとまず小康状態ですが、すでにEUと結んだ協定を反故にするようであれば、当然EUとの交渉決裂だけに及ばず他国も英国に対しての信頼を失う可能性が高いため、英ポンドは一段と売り込まれるニュースが出てくる可能性があります。

 この英国に対して、スコットランドは2014年に実施した独立を問う国民投票を再び行うべきであるという機運が高まりつつあります。前回は大差で反対となりましたが、その後に今度は英国がEUを離脱するという流れになったことで、スコットランドではイギリスから独立してスコットランドとしてEUに加盟するという考えが徐々に高まり、これが実施されるようになると英ジョンソン政権にはさらに痛手になると思われ、こうした点もポンドには重石です。ポンドドルチャートを月足で見ると、離脱前の高値1.178に対し、その後は1.14台でダブル底を付けていますが、高値から安値の3分の1戻りの水準にも届いていないのが現状です。基本は戻りがあれば売りたいが、報道1つで逆に持っていかれるスピードも強く、政治的な側面だと突然出てくる報道に翻弄されることもあり、博打的な動きになる点はよくご注意を。

 9月14日に(日)自民党総裁選、10月15日に(英)EU離脱合意期限、17日にNZ総選挙、そして今示唆されているのは25日に(日)衆院解散総選挙です。11月3日には米大統領選挙を控えており、10月中には中国で5中全会も開かれるなど、政治スケジュールが非常に多くなります。9月と10月でトレンドがコロっと反転することもあるのが秋相場ですので特に早回しを心がけたい時期です。

※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。

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