先週は103円台まで円高が進行していたドル円相場ですが、今週、次期米大統領にバイデン氏が確定したことと、ファイザーが新型コロナワクチンを開発したことで一気に市場はリスクオンになり、株価は2万5千円を上回り、ドル円・クロス円も一気にリスクオンの形になりました。ドル円は円高基調が一気に米債利回り上昇を追い風に105円と円安に転換しましたが、その後もだれずに高止まりになっています。これは予想外の動きでした。今年は2月に112.22の高値を付けて以降コロナショックもあって下げトレンドが継続されており、先般も節目の104円を割り込む形になりましたが、今月106.18を超えてくると、今度は月足で安値の陽線つつみ足になります。この流れが継続されるかどうかはまだ分かりませんが、ひとまず下げ無いのでショートは止め、新規のショートポジションもちょっと作れません。
この直近のリスクオンの動きで特筆すべきはNZドルです。11日のRBNZはRBAなどに追従せずに金融政策を据え置きしました。これは予想通りというアナウンスもありましたが、直近のNZ側のハト派コメントを見ていたら、緩和に動いてもおかしくない雰囲気があったと思います。結果据え置きになったこともまたNZドルを押し上げ、対円で72.74まで上昇し、今年1月7日につけた高値73.34を伺う動きになっています。RBNZは今回は金融政策を据え置きましたが、結果まだ政策金利を引き下げる余地を残していること、国内政治が非常に安定していること、コロナ対策がしっかり行われていることなどが他国に比べてもNZドルを買いやすい地合いになっているというところでしょうか。加えてマイナス金利導入を否定するコメントもRBNZ要人より出たことも追い風です。
NZは年内の金融政策会合が終わり、次回会合は2021年2月24日とずいぶん先ですから、金融政策の変更の可能性が当面ないことも変化の多い地合いのなかで買い安心感がありますね。
もう1つ大きな変化を見せている通貨がトルコリラです。先週、エルドアン大統領は中銀総裁を更迭し、アーバル元財務相を指名。婿の財務相は辞任し、エルバン元副首相を指名するなど経済再生のためのてこ入れ人事が進みました。さらに「われわれは雇用を創出し、インフレも経常赤字も生じさせない成長の枠組みを構築していく」などと主張。金融政策に関する中央銀行の独立性を尊重する意向をにじませるなど、経済・金融政策の軌道修正が図ることを期待してトルコリラが反転上昇に転じており、対円では12.02の史上最安値から13.52迄急騰しました。一部外銀は買い推奨に転じるなど、変化の兆しが見えています。何度も期待を裏切ってきたトルコですが、大底での買い変化は買い妙味か。
※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。
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