ドル円相場は直近で108.72の安値を付けた後V字型の切り返しとなりましたが、11日に発表された米7月CPIは1年前に比べて5.4%上昇しましたが、変動の大きいコア指数は前月からの伸びが鈍化し、予想通りの4.3%と落ち着き、FRBが「インフレ上昇は一過性のものである」としていた通りの展開が伺える内容と捉えられ、インフレ警戒が和らぎ早期利上げ期待がやや後退してドル円の上昇も鈍化する動きとなりました。ただ10年債利回りは雇用統計の堅調な数字と、バイデン政権が進める1兆円規模のインフラ投資法案が上院で可決されるなど経済の回復の大きな期待を背景に直近で1.12台でダブルボトムを付けて切り返し、1.37%まで上昇してきています。
対照的に弱いのがユーロ相場で、対ドルでは1.17台まで下落して3月安値に顔合わせとなりました。またアジアも各地でデルタ株の感染が拡大していることで経済への不安につながるなど、世界全体がリスクオンになっているわけではなく、どの国へ投資マネーを投げるかをよく見極める必要がある状況になっています。為替面では強さ取り上げ期待が見えるアメリカドル、早ければ年内利上げ期待のNZドルなどが強く、ロックダウンが延長されている豪ドル、複合通貨のユーロなどは鈍い動きになるなどまちまちです。
このコロナ拡大は中国にも再び回帰しており、正確な公表をする国ではありませんが、一部でデルタ株の感染拡大が懸念されています。さらに、先般の教育事業に対する締め付けの結果、tiktokを運営するバイトダンスが数百人規模のレイオフを実施しましたが、レイオフがこの規模で済むかは安心できません。加えて中国当局は、オンライン保険に対する締め付けを行うのではないかという報道も出てきています。
こうした中国発の懸念やコロナ問題は引き続きマーケットに蔓延してきそうですから、弱い通貨の出直り期待の押し目買いなどはまだ早いかと思います。強い通貨に押し目買いで18日にRBNZ会合を控えるNZドルを引き続き狙っていくのが賢明かと思います。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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