日本は株高でも為替は連れず2021.09.17

 日本株市場は政治の変化を大きく好感して強い上昇が続いています。時に2012年末のアベノミクススタート時を思い起こす方もいるかもしれませんが、今回為替は全くついていっていません。ドル円に限らずクロス円も鈍い動きが続いており、ここの解説では「デルタ株の感染拡大による景況感を見極める」ような表現が見られますが、世界が中国の動きを注意深く監視している点は否めないかと思います。

 直近で、中国の大手不動産会社である中国恒大(Evergrande)が深刻な財務不履行に陥っています。この会社の財務不安定な状況は昨年も囁かれていましたが、いよいよ深刻度が増している状況です。同社の販売する資産運用商品「理財商品」の償還を求める投資家に対して、同社は「未曽有の困難」の状態であると声明を出し、15日には当局が「中国恒大は今月20日期限の利払いはしない」と銀行に通達しました。同社は依然として債務の繰り延べや借り換えの可能性について複数行と協議していますが、来週20日にどのような結果になるのか動向を注視する必要があります。現状では不履行不可避という印象ですから市場は織り込んでいるかもしれませんが、影響の拡大については織り込んでいるでしょうか。リスクオンになり切れない大きな影響として潜在している点に注意ですね。

 この中国恒大のデフォルトリスクがまだ豪ドル売りの要因の1つになっています。豪ドルは、今週ロウRBA総裁が2024年より前の利上げの可能性を排除したこと、テーパリングを来年2月まで延長したのは経済回復が減速しているからであるとし、これを受けて売りが強まりました。その回復減速の一因が中国の経済減速懸念ですので、豪ドルは戻り売り地合いが続きますね。

 中国の企業の成長が曲がり角を迎えているのは何も同社だけではありません。この3月にも中国恒大同様に有力なトップサッカーチームを有していた家電最大手の蘇寧グループがチーム運営を諦め政府資金で事業再生に向かうということがありました。2月の北京冬季五輪までは・・・という見通しを持ちたい気持ちではありますが、2008年の北京五輪の時も株価は前年に大天井を打って大きく下げていましたので、中国経済の本格的な「曲がり角」懸念に対して、欧米とも自国経済への影響を加味して見守っている状況が為替に表れているのではないか・・・色々変化の出る「秋相場」ですから注意しておきましょう。

  ※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。

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