日本は先週まで株価上昇で気を吐いていましたが、中国恒大のデフォルト懸念で世界中のムードが一変しリスクオフの色合い濃い展開が続いています。クロス円は軒並み200日線を割り込み、ドル独歩となりやすい地合いも、FOMCも中国問題を背景に出口戦略のスケジュールを少し後ずれさせるのではないかという思惑もあり、嫌なムードが支配的です。
さて、そうした中世界は選挙シーズンに入っており、先週末はカナダの総選挙でトルドー首相が辛勝。今週26日はドイツの総選挙です。今回は16年続いたメルケル政権が終焉し、新たなスタートを切るドイツのトップを選ぶ選挙になります。政権トップの与党が16年ぶりに中道左派のSPDに変わる可能性があることも市場はある程度織り込んでいますから、この結果が大きくユーロ相場を動かす可能性は低いかと思います。ただ世論調査トップのSPDと、メルケル首相率いるCDUの支持率は拮抗したまま混戦となりそうですから結果が出るまでは分かりません。
また単独政権を取るだけの支持率はどの政党にもありませんから連立政権が既定路線ですが、では連立になる場合に要する時間は?というと、参考までに前回2017年9月に行われた総選挙でメルケル氏は4期目の首相就任を決めましたが、連立政権樹立には困難を極め、発足(CDU・CSU・SPD連立政権)は翌18年3月となりました。半年も連立協議に時間を割いたことで、メルケル首相の国内における求心力の低下、レームダック化が指摘されることになりました。
ただ、今回の連立で再び両党が組めるかというと、2017年に比べて政策に違いがハッキリ出ている点で手を結びづらく、第三の党である緑の党と連立を組めば欧州に左派政権の誕生です。来年4月のフランス大統領選挙に向けて少なからず何かインパクトを与えることになりそうです。いずれにしても、連立樹立が困難を極めれば、ユーロへの不安感になってもおかしくありません。
選挙結果がどのようになるかは選挙が終わるまで分かりませんが、「見えないこと」について、今市場がリスクを取る動きではないのは確かです。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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