ドル円押し目狙い2021.11.19

 バイデン大統領は16日、今週中にFRB議長人事を発表するとしました。意外に決定まで時間が掛かりますね。となるとパウエル議長の続投ではないのか?ブレイナード理事が時期議長という線も強まります。いずれにしても、来週の感謝祭休暇の前にハッキリすると明言しました。

 FRB議長が代わったとしても、今のFRBの政策が大きく方針転換するということは無く、アメリカは来年の後半に利上げ転換すべく動いていくことになりますが、直近でドル円相場が115円目前まで上昇したのは、アメリカの金融政策だけでなく、ユーロを売ってドルを買う動きが活発化していることも1つ背景にあります。

 ロシアは4月に続き直近でもウクライナ国境に10万以上の軍隊を派遣し、非常に緊迫した雰囲気になっています。2014年2月20日にロシアがウクライナ侵攻しクリミアを併合して以降、今年に入って都度緊迫感が伝えられてきましたが、それ以上に降って沸いたように登場したのが、ベラルーシからポーランド国境に押し寄せている移民問題です。厳冬の中、移民は2千万人を超える規模であつまっており、一般市民とは画する組織的な移民も含まれ懸念されることが報じられており、一部の投石などをする移民に対しポーランドは16日に催涙ガスや放水銃を使用するなどして対応するなど、日を追うごとに悪化した状態になっています。EUはこれを先導しているとするベラルーシに対して制裁拡大を決定しましたが、一方で移民に対して70万EURを拠出して人道支援をし、ベルラーシとも本国送還について協議すると方針を示しました。一方のベラルーシ側は天然ガスを止めると対抗しています。

 為替市場から見ればまずは地政学的リスクで欧州売りとなり、ユーロ売りドル買いの流れの一助になっています。加えて欧州はロシア産の天然ガス頼りですが、こうした制裁によって資源・エネルギー全般に対してひっ迫懸念の上昇が懸念され、資源価格上昇によるインフレ加速の警戒からドルが買われやすい図式になっています。原油についてもアメリカは一旦政府備蓄の放出と言われて原油価格が目先ピークアウトの形になっていますが、この放出しても再びひっ迫するのではないかという見通しが強く、ドルは2017年以来の115円を目指す動きになりました。

 115円突破にトライし2度押し戻されて今下落していますが、来週後半はいよいよ年間で最大の個人消費活況期に入りますから、その前の今の下落は良い押し目ではないかと思います。

 ※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。

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