ドル円相場が137円迄上昇しました。28日に行われたECBフォーラムに出席したパウエルFRB議長が金融政策や方向性について「アメリカ経済は力強く利上げに耐えられる状況にある。金融引き締めによる経済の減速よりも物価の安定に失敗する方がより大きな過ちになるため、インフレ抑制を何よりも優先していく。」と強い利上げ意思を示したことで、ドル円相場を一段と押し上げました。ただ、物価目標2%達成が非常に難しい道程であると示し、インフレが非常に依然として非常に厳しい状況であることを示しました。また、景気減速よりもインフレ抑制をターゲットに据えていますので、米株がこれ以上の崩れを見せることがあっても、金融引き締めスタンスは変わらないとしたことで、ドルは強力な追い風を得ている状況です。
この状況については世界銀行ラインハート副総裁も「アメリカや世界がリセッションを避ける可能性はかなり懐疑的であり、景気後退は避けられない。米の金利上昇やインフレ、中国経済の成長鈍化が大きく影響している。また景気後退を抑制しつつインフレを抑制する「ソフトランディング」は歴史的に見てもとても難しい」と発言しており、米及び世界経済がハードランディングとなることを想定していると含む発言です。あくまでこれは株式市場、しいては経済・労働市場に対してですが、近い将来金融市場が強烈なリスクオフ地合いになったところで、ドルが天井になるかどうか・・・少なくともドル円相場については、日本側の姿勢やスタンスに変化が無い限りは円安高値圏での推移が続きそうです。
また先週懸念した中国ですが、全人代の常務委員会が24日、IT規制を強化する独占禁止法の改正案を可決し、8月1日に施行が決まりました。2008年に独禁法を施行して以来初の改正です。こうした内容が続くと成長鈍化懸念が一段と深刻になりそうです。引き続き注意しておきたいです。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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