すでにご周知のとおり、先週末のジャクソンホール会合でパウエル議長が早期の利下げ懸念を払しょくし、高インフレを抑えるための強力な利上げを続けることを示唆したことで、株価は急落し、米金利は上昇。ドル円相場は9月1日に7月14日の139.39の年初来高値を抜いて、139.58迄上昇し高値更新しました。次は9月13日に8月のCPIが公表されますので、ここでインフレが高止まりとなるか、さらに一段と進むのか等々、FOMCに向けての思惑が出てきそうです。
またジャクソンホール会合でもう1つ注目されたのがユーロです。26日のクノット・オランダ中銀総裁の発言に続き、27日にはシュナーベル専務理事、ビルロワドガロー仏中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁が大幅な利上げの必要性をそれぞれ主張し、短期金融市場は、ECBが9月、10月で合計125bpの利上げを行うと、100%織り込んだ動きになっています。ユーロドルを見ると、ドルの利上げの方が早期からピッチ早く継続していることでドル買い・ユーロ売りの流れは変わっていませんが、対円では再び140円台をうかがう展開です。ECB会合は9月8日に迫っていますので、目先的はユーロ買い・円売りが妙味です。ECBは7月に11年ぶりの利上げを行ったばかりですが、欧州も急激なインフレに対して確固たる対応に迫られる状況です。ウクライナ戦争も未だ終わりが見えておらず、中国では都市部で定期的にロックダウンが起きています(直近では深圳)から、サプライチェーンへの影響もまだまだ軽視できません。こうした点は、引き続き高インフレを悩ませる大きな要因として注意が怠れません。
さて来週5日に英国与党で党首選が行われます。ユーガブの世論調査によると、トラス氏がやや優勢のようです。トラス氏が勝利し、英国首相に就任した場合、サッチャー元首相、メイ元首相に続き、英史上3人目の女性首相の誕生となります。ただトラス氏の場合の市場の判断は今のところ経済に対するスタンスが減税方針、BOEの政策批判を連ねており、ポンド売りに警戒か。
来週は週初の英国から週央のECBと欧州に注目です。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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