先週末にクレディスイスの先行き不安懸念が一気にマーケットに駆け巡りリスクオフの流れが強まっていましたが、週初に英政府が減税を撤回して一旦落ち着きを取り戻しました。この英波乱の要因を作ったトラス政権が発足したのが9月6日、その直後にエリザベス女王が崩御され、国葬後は新政権による減税策への言及が強まり、たった1カ月で英国の雰囲気が崩れるように大きく変化しました。この間英ポンドの騰落率は対円で-10.3%、対ドルで-11.2%と荒い値動きになり、特にポンドドルは1985年の史上最安値を割り込み、歴史的な安値を更新しました。
この急ピッチに進む高インフレに対応する形で、各国が大幅利上げの決断に迫られていますが、この金融政策が経済鈍化を強めるという懸念から、今週は国連の補助機関である国際貿易開発会議(UNCTAD)が世界各国の金融政策に絡む世界的な景気後退リスクに警鐘を鳴らし、とりわけ途上国に深刻な影響が及ぶ恐れがあるとして「軌道を修正するよう」呼びかけました。とはいえ、各国中銀はその国の経済安定が一番の使命であり、インフレ放置は出来ませんから、その他国への影響を注意しておく必要は否めません。
しかしながら、今週は一服の様相になりました。アメリカを中心に出てくる経済指標が軒並み鈍い結果になっていることから、FRBのタカ派スタンスの鈍化を期待した株価の反発もあり、一息つく場面になっています。ただ、ドル円は144円台で膠着しており、動きがありません。下げる要素も無いが、介入危険で買い上がることもできない。ポジションメイクできる水準ではありません。むしろ記録的に下げたり上げたりしている通貨の逆張りを考えて頃合いを見たいですが、未だ手出しは早いと考えています。
また今週末には中国で七中全会、来週16日には5年に一度の共産党大会が行われますから、市場も様子見の雰囲気がやや強いか。党大会が終えて週明けは、金融市場的に印象深い秋相場の記録的に下げたことがある10月24日(月)です。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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