7月のFOMCは2会合ぶりの25bp利上げを決定しました。政策金利は5.25-5.50%となり、22年ぶりの水準です。今後の見通しについてパウエル議長は会見で「次の会合までCPIと雇用統計が2回ある」と繰り返し、今後の方針は経済指標を見るという内容に留めることに終始した感がありました。パウエル議長自身は年内あと1回の利上げを否定しておらず、また年内の利下げ転換は明確に否定するなどハト派という内容ではないのですが、市場はハト派ととらえ、ドルは売られ株式市場は13連騰とドル売り株買いのセオリー通りに反映しました。
中銀ウィークの初戦を事前予想通りで通過し、ドルは引き続きチャートが機能しています。半値押しのところで反発しましたが21日線が上値をしっかり押さえており、週足チャートは三角持ち合いになっています。日足、週足と抑えられるかブレイクするか注目です。
さて、FOMCが通過し残るは欧州と日本になりますが、レポートがお手元に届くころにはいずれも判明していると思われますので、夏相場を考えましょう。
まず常々「夏は荒れる」イメージの強い中国です。この中国ではまず人民銀行総裁に潘功勝副総裁が就任しました。2012年から副総裁を務めており、国際派として実務面にも信頼が高いと評されています。今中国経済が当初の想定よりもはるかに落ち込んだ状態であることが日々明らかになっており、元安も2008年以来の水準になっていますから、新総裁によってまた新たな動きが出てくるかもしれません。
さらに、第3期習近平政権で史上最も若く外相に就任した秦剛がわずか半年で解任され、前外相で政治局委員に就任していた王毅氏が兼務することが報じられました。秦剛氏は6月から急に姿が見られず去就が報じられていました。健康面や女性問題等噂されていますが、異例のスピード出世が及ぼした人間関係の悪化等もあると見られ、ウェブ上など秦剛氏の存在がきれいに削除されています。事実上の更迭でいったんこの問題が終結しましたが、中国経済の不透明感に相まって政治の更なる不透明感を印象付けるような出来事でした。
また8月恒例のジャクソンホール会合も控えています。9月のFOMCを前に、あまり強い金利見通しを示す地合いではないとは思いますが、注目度は高いのでご注意を。
目先の為替はリスクオンの流れは落ち着きそうです。くれぐれも円安を前提にしたポジションは短期回しに徹してください。
追記:日銀金融政策決定会合において長短金利操作の柔軟性が決定しました。発表時刻は12時28分、またこの内容は28日の深夜2時頃事前に日経で報道され、その内容を受けてドルは141円台から一気に円高に大きく動いていました。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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