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好悪、悲喜こもごも。次の動きを待つ時2024.02.09

 先週末に発表されたアメリカの1月雇用統計は、予想をはるかに上回る雇用の堅調さが確認され(NFP予想+18万人、結果は+35.3万人。失業率は予想3.8%、結果は3.7%。平均時給も予想+0.3%、結果は+0.6%)、ドル優勢の動きになりました。ただ、同日発表された1月のISM製造業景気指数の構成項目を見ると、仕入れ価格が2012年以来の伸びになっており、コスト上昇ペースが加速していることも確認され、紅海での地政学リスクによる船舶の航行問題が今後さらに価格に上乗せされていくことも懸念材料となり、ドルの大きな伸びにはつながりにくい地合いです。経済面からはこうした好悪混在のケースが多く、ドルのトレンド形成には至りません。高値で膠着の展開になっています。

 また7日に発表した去年の米貿易統計によると、アメリカの輸入相手で中国は2008年以来17年ぶりにアメリカが首位陥落し、メキシコが首位になったことが分かりました。このメキシコは近年中国の輸出先として伸びていることから、米中の貿易は直接的な流れではなく、第三国をクロスした流れになっている様子もうかがえますが、中国は経済減速も非常に深刻で、8日に発表された1月のCPIは前年比で予想-0.5%に対し、結果-0.8%と悪化が確認されました。世界がインフレの中のデフレです。でも資源通貨にはあまり影響をしていないところを見ると、今後は資源通貨の影響する相手も違ってくるのではないでしょうか。世界の経済分断と同様に勢力図が変わってきますから、注目していく指標も変わっていくと考えておきたいと思います。インドが台頭しているように。

 さて、今日はこのニュースも気になります。『米商業用不動産懸念が欧州に飛び火、ドイツのPBBなど銀行債急落

 2月8日の朝の記事です。この商業用不動産については、先般ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は10-12月期の決算発表の際、予想外の減配と商業用不動産ローンの問題債権化に備える貸倒引当金積み増しを公表しました。その後ムーディーズがジャンク級に格下げしました。続いて日本でもあおぞら銀行ショックがあり、それが欧州に飛び火しているという記事です。すかさずサブプライム危機になるかは別として、これで収まるかどうかは疑問です。

 こうした好悪材料が混在していますから、次のトレンドは見えていません。今後の動きを待つ時と考えて無理なポジション形成はご注意を。

※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。

 

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