ドル円は155円を目前にもみ合いが続いていましたが、4月24日に155円を突破し、1990年6月以来の高値となりました。円安警戒水準は日々切り上がっている様相ですが、アメリカの経済が堅調で追加利上げもささやかれる現在、介入の効果の是非を問う声も少なくなく、相場の動きは日本政府・日銀に挑戦するかのように一段高に向かい、160~170円ゾーンが目安という見方も現実味を帯びてきました。明日、26日の正午前後には日銀の金融政策決定会合の結果公表が予定されています。先般マイナス金利解除を決めたばかりですから今回は特段の政策変更は予想されていませんが、26日の公表以降、GW期間中に介入があっても水準的にはおかしくありません。(追記:4月26日の日銀金融政策決定会合は12時22分に現状維持公表。ドル円相場はその後156円台乗せ。)
ただ直近の報道では、麻生元副総理が単独で訪米しトランプ元大統領と会談。その後にトランプ元大統領が円相場について「大惨事だ」と発言していますから、もしトラ対策の訪米でのコミュニケーション作りの中で為替について言及していることは秋以降に大きな意味が出そうなので覚えておきたい点だと思います。インフレ抑制をできていない米国ではもしトラの可能性が一段と強まりつつありますから夏以降は一段ともしトラ相場が出てきそうです。ちなみに過去のトランプ政権下の2017年1月からの4年間、ドル円は110円を挟んだ小動きでした。トランプ大統領というとドル高の印象がありますが、これは2016年大統領選のまさかのトランプ勝利と、年前半のまさかのBREXITでリスクオフによる円高の巻き戻しによるもので、為替は小康状態の4年間でした。
その他目を向けると、19日(金)午前にイラン、シリア、イラクで同時爆発の報道を受けて、金融市場が全面安、日経平均は一時1300円超安の大幅安になりました。この時の為替市場は株ほどのボラティリティではありませんでしたがリスクオフの円高の動きとなり、先週当コラムで触れたように逃避通貨のスイスフランが真っ先に買われるという動きがありました。チャートは上がスイスフラン円、下がドル円の19日の30分足です。真逆に動いているのが分かります。だからスイスフランを買うということではなく、こういうリスクの時にはまず動くから今の世情だとウォッチリストに入れて警戒しておくことを再度お勧めしておきます。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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