イギリスは7月の総選挙に向けて、下院が解散しました。いよいよ選挙期間に突入です。このイギリスの解散総選挙のスケジュールを受けて、ポンドに台頭していた利下げ懸念が後退し、ポンドは対円で2008年8月以来となる200円台乗せとなりました。2008年8月といえば、リーマンブラザーズが破綻する直前です。円キャリートレードの人気が終焉し、最高値の251円の急落から小反発した局面でした。まさに今の円キャリー相場のように、当時もドル円、クロス円が全般的に買われる凄まじい円安局面でした。今と当時ではFXトレードの知名度に圧倒的な差があり、レバレッジ400倍などといった投資を勧める業者も多くいたことから、かなり投機的で怪しい印象の強い金融商品の位置づけでしたが、それでも円を売れば儲かるということで多くの人がハイレバで外貨を買って、その資金全てを溶かしてFXから撤退するようなことが相次ぎ、レバレッジ規制に進むきっかけになった頃で、多くの人が溶かした通貨の代表がこの英ポンドです。それから16年ぶりの200円乗せと非常に堅調な動きになっています。
英国は今回の選挙で政権交代がささやかれています。支持率は拮抗しており選挙は水物ですから結果を見るまで分かりませんが、英国は日本と違って木曜日が投票日に設定されています。したがって、日本時間で翌金曜日の正午にかけて体制が判明していくので、その時間にポンドの動きが非常に荒れやすくなります。200円まで上昇した英ポンドは変化率よりも現実な幅が非常にポジションを圧迫しますので、英ポンドを取引している方は注意してください。日本時間だけで行って来いになることも多いので、あまり煽られて右往左往しない程度に余裕を持ったポジションにしておくことをお勧めします。
また日本も7月7日に都知事選を控えています。ここで野党都知事が誕生するようだと、日本の政府に対する政治不信を外国人がどう判断してくるかが日本の金融市場全体に影響しそうです。他にも南アフリカが29日に総選挙を実施しました。騰勢はまだ判明しませんが、マンデラ大統領から30年続いた民主主義政党の支持率が初めて過半数割れするという見込みです。このところの地下資源・鉱物資源価格の上昇で南アフリカランドも出直りの動きを見せていますが、選挙結果と連立の方向性よっては一旦値を消す可能性も。
そして今年一番の上昇を見せているのがメキシコペソですが、同国も6月2日に大統領選挙を控えています。今のところ現政権の続投の可能性が高いようですが、選挙を前にメキシコペソが一旦反落しています。ボリンジャーバンドで見ると、-1σで反発していることが多く、現在は21日線を割れたところ。現在の水準は21日線と-1σに乖離がありますので、引き付けて押し目買いのスタンスで注視しています。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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