21日、米労働省が雇用統計の年次改定で2024年3月までの1年間の雇用者数が81万人の下方修正になるという推定値を公表しました。この年次改定による下方修正は、週初に一部で「水曜日に最大100万人下方修正になる」と報じられていたため、その報道によるドル売りなどがすでに始まっていましたが、実際に出た数字は事前予想の中でも悪いめの81万人ですから9月のFOMCによる利下げ開始確率が一段と上昇です。ジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演は一段と注目度が上がります。ただ、こうした地合いなので特段のヒントになるような発言は極力控えると思いますので、注意して話す中に何かメッセージがないかを細かく探る人たちのアクションに警戒のほうが高めです。
こうしたアメリカの景気後退の流れを受けて、円キャリーからドルキャリーへ。ドル売り新興国買いに変化といった外銀のコメントなどもありますが、過去の相場経験則からアメリカの景気後退の兆しでドル売りにしてエマージング通貨を買うと、その後の大きな相場の巻き戻し時に痛手を負うという印象が強いので、ここで新興国にマネーを向けるのは個人的にはNGだと考えています。アメリカの景気が減速すると世界各国に大きな影響を及ぼすのでその時に痛みを伴いやすいのが新興国であり、通貨市場が小さい新興国通貨は激しいボラティリティで一気にポジションが飛んだという話は幾度も繰り返されました。多くの新興国の柱になっている商品資源も、中国の景気減速による需要後退で上昇が見込めません。繰り返しになりますが、今は次のトレンドが出てきていないので、スキャルやデイトレ等短期に徹せられないなら手出し無用かと考えます。
さて今週末のジャクソンホール会合が終わると、あっという間に9月相場到来です。今年のアメリカのレーバーデーは9月2日(月)ですから、いつよりも1週早く秋相場が本格化ですね。レーバーデーが過ぎるとすぐに8月雇用統計を含む注目度の高い経済指標の発表があり、10日には米大統領候補討論会、ECB(9/12)、FOMC(9/17-18)、BOE(9/19)、日銀(9/19-20)、RBA(9/24)、SNB(9/26 シュレーゲル総裁に代わって初の会合)と続き、27日の自民党総裁選までスケジュールが目白押しです。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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