来週はいよいよトランプ大統領が政治の表舞台に正式に復活してきます。それを前にイスラエルとハマスはガザ停戦で合意に至る(トランプ合意)と報じられており、20日の就任式を前に19日に調印というスケジュールになっています。各国はトランプ警戒態勢で就任後に何を実行するか恐々と待ち構えている状況ですね。
そうした中で直近では日銀の1月利上げの思惑が非常に強まってきました。植田総裁は15日に銀行協会の賀詞交歓会で来週の日銀会合で利上げをするかどうか議論して判断すると発言しました。氷見副総裁に続いての植田総裁発言を受け利上げ見通しが一段と強まる地合いの中、ブルームバーグが16日に関係者への取材でトランプ大統領が来週の就任で金融市場に大きなショックを与えるようなことが無い限り、利上げを行うと話していると報じました。
加えて15日に発表になった米12月CPIはコア指数が0.2%と数カ月連続0.3%で維持していた0.3%を下回り今回鈍化したことが確認されました。インフレ緩和というのは現在の米金融政策において歓迎すべき数字でもあり、インフレ鈍化を示唆する数字を見て米株は上昇しました。対して一部では再インフレ懸念での利上げ予測なども報じられていたドル円は1カ月ぶりに155円台まで下落するなど、為替を取り巻く雰囲気にやや変化が感じられます。日足のチャートを見ると、21日線を下回ってきたのも昨年12月13日以来の変化です。今はまだ兆しですがここから大きなトレンド変化の起点となるかもしれませんから要注目です。
いよいよ週明けはトランプ大統領が就任当日にどういった発言や方針を示すのかが焦点となります。前回2017年1月20日の就任の際は、当日に国境を守る、TPP脱退表明、保護主義貿易を鮮明に示すなどがあり、数日後には貿易不均衡相手国として中国と日本を名指しで批判するなどがありました。ドルの初動は保護主義貿易警戒でのドル売り円高でした。
年始恒例、2025年のユーラシアグループの10大の1つに「米中決裂」があります。いよいよ2025年が本格的にスタートしていくと改めて気を引き締めてみていきたいと思います。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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