いよいよ夏休みまっただ中で、為替市場は市場参加者が少ないスカスカな地合いになっています。動きとしては、先に走った円高が是正され、やや落ち着きを取り戻しているところです。
さて、先般オバマ大統領が『アメリカ国内の法人税率減税を実施し雇用対策に充てる』と提案したことで、法人税率問題がにわかに大きくなってきました。
現在の米国では米企業が海外で得た利益を国内送金すると40%近い法人税が課税されることから、国内回帰しないマネーが膨らみつつあり、これを国内に戻して雇用促進させるべく減税案が浮上しています。歳出削減を進める共和党と秋には交渉が始まるスケジュールになっており、もし実現するとなると、世界の中で日本が突出して法人税の高い国として悪目立ちしてしまいます。
そして13日、日経新聞の一面で「安倍首相法人税率下げ検討指示」について報じられ、東京市場はこれを好感し、株価は反発しました。日本国内は来年4月の消費税増税可否と合わせてこの法人税率引き下げが政治的な大きな注目点になっていくことになり、例年アノマリーである秋波乱相場の中で、日米とも増減税問題が大きな渦の1つとなって、為替市場に襲い掛かりそうな雰囲気です。
ドル円は8月8日に95円台まで円高にブレましたが、反発して98円台ですが、この後15日には例年通り米債利払いを控えており、下値不安は残ります。4月2日の安値92円55銭、6月13日の安値93円77銭を結ぶ右上がりのサポートラインを目途に、押し目買いスタンスで見ていきます。
※こちらのコラムは毎週水曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。