来年6月に総裁任期を終える英中銀(以下BOE)の総裁人事において、英中銀は総裁ポストの公募を実施し、人事の絞り込みを行っていましたが、26日にBOEが発表したのは現カナダ中銀(以下BOC)で総裁を務めるマーク・カーニー氏のBOE総裁就任でした。1964年にBOEが設立して以来、初めての外国人の総裁登用です。
最有力だったのは、BOE勤続30年のタッカー副総裁でしたが、LIBOR不正操作問題などがあったことで、改革に向けた新風を吹き込むという意図を持って、オズボーン財務相肝煎りでカーニー氏に白羽の矢が立ったようで、2013年以降金融政策に加え、金融監督など権限拡大が予定される中で、その手腕に期待が集まっています。
人事は非常に異例ですが、おおむね好感を持って評価されており、来年6月末までは現職を続け、来年7月1日よりBOE総裁に就任します。豊富な資源をベースにカナダ経済を安定に導く一役を担ってきた同氏に対し、市場評価はとても高く、BOEでは一段の積極的な緩和を推し進めるのではないかという思惑がポンドの動向に影響しそうです。緩和はポンド売りになりますが、人事発表には好感したポンド買いに繋がりました。
こういった斬新な人事が、来年4月に任期を終了する日銀総裁の後任人事にも多少なりとも新風を吹かせてくれないか・・・な。ちなみにカーニー氏はゴールドマン・サックス出身。ドラギECB総裁、NY連銀総裁などと同様、欧米は中銀総裁も民間出身者の登用が増えてきています。
※こちらのコラムは毎週水曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。