イタリアの政局不透明感が尾を引いて、欧州通貨を筆頭に円買いのリスクオフムードが続いています。日本は日銀正副総裁がほぼ決定し(国会同意投票は3月14日、15日に実施予定)、2月26日には補正予算が可決、アベノミクスがいよいよ実働し始めていくことになります。
こうした日本単体の背景をベースに、日本株の下げは小さく留まっているようですが、為替市場は久々の大荒れ。ドル円は95円を目前94円60銭まで上伸するも失速し、現在は91—92円の水準まで低迷しました。
この95円トライというと、ちょうど3年前の春、2010年もこういった動きがありました。秋の85円から冬にかけて円安傾向となり、春には95円を試す動きになり、数週間トライしましたが、ほんの数銭足らずに失速し、その後の長い円高局面のスタートとなりました。
今回のドル円を2007年の高値124円から、2011年の75円の高安でフィボナッチリトレースメントを引いてみると、ちょうど38%戻しが94円11銭になり、その水準で一旦抑えられた形です。この94円台は大きな節目で重石になっているので、円安トレンドの落ち着きも相まって、95円乗せまでは少し時間がかかりそうです。
※こちらのコラムは毎週水曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。