今年前半に何度も相場にネガティブインパクトを与えたギリシャ問題を抱えた欧州ですが、9月8日発表の欧第2QGDP・改定値は速報値の+0・3%を上回り+0・4%に上方修正となり、EU全体の国別でも横ばいのフランスを除き、全ての国がプラス成長となりました。また同日発表されたドイツの7月貿易収支は+250億ユーロとなり、輸出額が過去最高となりました。これを受けてドイツ株を中心に欧州全体の株の買い戻し余力となって、このところ傾いていたリスクオフの流れを一旦払拭する動きになりました。
一方、直近で世界中に報じられて急浮上してきた問題の一つとして、大量の移民流入があります。移民受け入れを憲法で保障しているドイツに移民がどっと向かっており、一部の試算では移民受け入れによる経済負担が、昨年の4倍ともなる100億ユーロ(約1兆3200億円)に上るという数字も出てきており、この移民問題が経済回復基調の欧圏全体にどれだけ経済負担を及ぼすかは欧株、ユーロの動きと合わせて見ていく必要がありそうです。
また9月20日にギリシャの総選挙が行われます。今年1月の総選挙以降のような波乱が再びもたらされないよう、緊縮容認政権の樹立が無事に進むことを祈っておりますが、選挙ばかりは終わってみるまで分かりませんので欧州通貨を取引する方はスケジュールの1つとして念頭に置いておいてください。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・追記しております。